変形性股関節症とは
股関節の軟骨がすり減って起こる変形性股関節症は股関節の痛みの半分以上がそれに該当します。
股関節は体重を支えるため、お椀の形をした寛骨臼の中に大腿骨がはまり込む形をしています。この構造であるから、股関節は前後左右、そして回転までする動きを安定して支えることが出来ます。
年齢とともに関節軟骨はすり減っていきます。変形性股関節症が進行していくと、すり減った軟骨の微小な破片が刺激となり、炎症や痛みの原因になります。
また、傷んだ関節表面には骨棘というトゲや骨嚢胞などの凹みができ、これが動かす際の痛みになります。同時に関節のぐらつきも発生し、ズレや引っかかりの原因になります。
これらの症状が進行すると、なかなか症状が改善せずに、歩けないなど日常生活が困難になると手術となります。
股関節に違和感があるようなら、変形が進行する前に運動療法で改善させましょう。
痛みがある時の股関節の運動療法
ただし、痛みがあるときはランニングなど、痛みを誘発させる衝撃のかかる運動は避けてください。
まずは痛くない範囲で股関節を小さく、緩やかに動かし、関節液の循環を活発にして関節軟骨が再生するのを促しましょう。
今回の運動は股関節に衝撃を与えたり、強引に動かしたりはしません。
まずはこれらの運動で股関節を緩やかに刺激し、炎症や痛みが落ち着いてからストレッチや股関節周りの筋トレを開始しましょう。
そして筋力、可動域がついてきたらウォーキング、ジョギングへと徐々に運動強度を上げていきましょう。
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痛い変形性股関節症を改善させるセルフケア
注意点
運動は左右行いますが、痛い側の足で立つのに痛みがある場合は、痛くない足を軸足にした運動だけにしておきましょう。
ただし、動かして痛みのある動きの運動はパスしてください。
効果が見えるまで日数がかかりますが、続けるうちに痛みは軽減するので根気よく続けてください。
①股関節伸展
イスに背を向けて立ち、両手を骨盤に添えて、片方の膝を座面に置きスネを押し当てます。
立っている脚の膝をゆっくり曲げて、骨盤を前に押し出すようにして股関節を伸ばします。伸びたところで一呼吸置いてから元に戻しましょう。
10回繰り返しましょう。反対の足も同様に行います。
これを2セット行いましょう。
②股関節屈曲
イスに向かって立ち、片足をイスの座面に乗せて、背中をまっすぐに伸ばしましょう。この時、両手は膝に添えてください。
上体を前にゆっくりと倒し、膝を前に出して股関節を曲げましょう。曲げたら一呼吸置いて元に戻しましょう。
10回繰り返しましょう。反対の足も同様に行います。
これを2セット行いましょう。
③股関節内旋・外旋
イスに向かって立ち、片足をイスの座面に乗せて、背中をまっすぐに伸ばしましょう。この時、曲げた膝側の手は膝の上に置きましょう。反対の手は下に垂らします。
手で膝を内側に倒して股関節を内側にねじります。倒したところで一呼吸おきましょう。
次に膝を外側に押して股関節を外側にねじります。開いたところで一呼吸おきましょう。
これらの一連の動きを10回繰り返しましょう。反対の足も同様に行います。
これを2セット行いましょう。
④つま先の上下
イスに浅く座って、片足を少し前に出します。
前に出した足をかかとを支点にして上下に動かしましょう。
30回繰り返します。反対側も同様に行います。これを2セット行いましょう。
⑤かかとの上下
イスに浅く座り、片足を少し後ろに引きます。
つま先を支点にかかとを上下に動かしましょう。
30回繰り返します。反対側も同様行います。これを2セット行いましょう。
⑥ワイパー運動
イスに座り片足を前に出して、かかとをつけてつま先を上げておきます。両手はイスの座面に添えておきます。
つま先を内へ、外へとかかとを支点に車のワイパーのように左右へ揺らします。
30回繰り返します。反対側も同様行います。これを2セット行いましょう。
最後に
変形性股関節症の患者さんの多くは女性です。
40代〜50代になって症状が出る方が多いですが、8割の方に子供の時に発育性股関節形成不全があります。若い時は症状がなくても、生活習慣や筋力低下、ホルモンバランスの崩れから症状が出る場合が多いです。
後の2割は年齢とともに関節軟骨の変形から股関節症を発症してくることがあります。
股関節に異常を感じたら、早めに受診してくださいね。
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