股関節の構造はお椀の中にボールが入っているような形をしています。そしてこのお椀の形は人によって様々です。
変形性股関節症の患者さんの大部分は生まれつき、このお椀の形が小さいです。そのため、関節の中で安定しにくい状態になります。それを安定させるのが筋肉です。
しかし、年齢とともに筋力が衰えてくるとボールがお椀からこぼれそうになり、関節にズレが生じます。そうなると関節の痛みが起き、痛みをかばうために筋力がさらに低下するという悪循環になります。
変形性股関節症による痛みの悪循環を改善するには運動によって股関節周囲筋肉の力をアップさせることが重要です。筋肉には関節への負担や衝撃をやわらげる働きがあるので、痛みの軽減や症状の進行を止める効果を期待できます。
股関節の炎症が落ち着いたら、関節の可動域を広げるストレッチと合わせて、早期にエクササイズを開始しましょう。
今回のエクササイズは股関節が痛くて、普段運動してこなかった方向けの最低限の運動です。この運動に慣れてきたら股関節周囲の筋肉をさらに鍛えるために次回紹介するトレーニングも加えましょう。
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イスを使ったスクワット
イスに座り、足を肩幅に開き、両手のひらを下にまっすぐに伸ばして姿勢をまっすぐにします。
息を吐きながら、両手から前に引っ張られるイメージで上体を前に倒します。
そのまま前傾したままゆっくりと立ち上がります。
次に手を前に伸ばして水平にしたまま、息を吸いながらゆっくりと背中を伸ばしたまま座りましょう。
この一連の動きを10回繰り返します。2セット行いましょう。
横向き脚上げ
体力のある方は足首に重りを巻きつけて行なってください。最初はなくても構いません。
横向きに寝転がり、下の脚を膝を曲げて前に出します。上の脚はまっすぐに伸ばしておきましょう。下の手を枕にして、上の手は体が安定するように胸の前に置きます。
上の脚を伸ばしたまま横に上げていきます。
45度の角度まで上がったら、足の親指を床につけるように脚を下ろしましょう。
10回繰り返しましょう。2セット行います。反対側も同様に行います。
あお向け脚上げ
あお向けに寝転がり、両膝を立て、手は腰の横に置きます。
片脚を45度になるまで持ち上げ、ゆっくり下ろします。
床につけないように下ろしたら再び上げましょう。
10回繰り返しましょう。反対側も同様に行います。2セットしてください。
最後に
今回のエクササイズは、疲労や痛みが出ない回数、セット数で、継続して行なうようにしましょう。また、ストレッチが不足している状態で筋力トレーニングを行なうと、症状を悪化させることがあります。
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