正しくできていないスクワット
足腰が弱くなると動くのが億劫になり、日ごろの活動量が減ってしまう傾向にあります。特に、高齢者の方であれば歩く機会が減ることによって筋力が低下し、さらに歩きにくくなってしまいます。だからこそ、日頃から鍛えておきたいのが下半身の筋力です。
病院のリハビリなどで、スクワットを指導してもらっている高齢者の方は多いです。しかし、自宅で体操している方を見ていると、ほとんどの方が正しくできていないです。
自己流になってしまったり、回数をこなすことだけに意識が向いてフォームが崩れたりしていますよ!
ちょっとした工夫をするだけでトレーニングの質が向上し、リハビリ効果もアップします。
スクワットで間違いやすい7つのポイント
スクワットはお尻から太ももを中心とした下半身全体を鍛えること。歩く力が弱くなったという人にオススメのトレーニングです。ただし、自己流で行うと膝を痛めることが多かったり、太ももやお尻に効かないフォームでされる方も多いです。
1.股関節を動かす
スクワットの間違いで多いのは、膝を曲げ伸ばしするだけの、屈伸運動をしていることです。重要なのは、いかに膝関節に負担をかけずに足腰を鍛えるかです。そのために大切なのは股関節の動き。イスに腰かけるイメージでお尻を後ろへ突き出すように股関節から動かしましょう。膝を曲げるという先入観をなくし、股関節をたたむとイメージしてください。そうすれば、おのずとお尻を後ろに突き出す格好になります。鏡でフォームを確認して取り組もう。
2.膝が前に出すぎている
もう一つは膝がつま先より前に出ている状態です。厳密にいうと骨盤が後ろに傾いた、いわゆる猫背の姿勢になっています。
3.腕の位置
腕の位置は基本は腕は前に伸ばしましょう。スクワットで股関節を動かそうとすると重心は後ろにかかり、転倒しそうになります。そのため、腕を前に伸ばした方がバランスよく安定します。
転倒の危険が少なく、ある程度筋力のある人は胸の前でクロスさせたり、両手を組むのは体幹や脚に力を入れやすいので、これも良いです。
頭の後ろで手を組むのは体が硬い人にとってはフォームが崩れる原因になります。胸を開いて背中を伸ばそうとするには頭の後ろで手を組むのも一つの方法ですが、無理に頭の後ろに手を置いて、肘を閉じて胸も丸まってしまったり、頭が下を向いてしまっては本末転倒です。適切なフォームをとるためには、上半身の姿勢も大事だし、腕の位置にも意味があります。
4.足の幅と向き
ノーマルスクワット
腰幅に足を開いて立ち、つま先はやや外向きで、つま先と膝の向きを揃えます。
鍛えられる筋肉は大腿四頭筋を中心に、大殿筋、ハムストリングス、腓腹筋・ヒラメ筋まで鍛えることができます。
ワイドスクワット
足幅をノーマルよりも広めにして、つま先を外に45度くらいに開きます。つま先と膝の向きを揃えます。
股関節を外に開くことで骨盤まわり、太ももの内側にも効きます。ノーマルスクワットで鍛えられる筋肉にプラスして内転筋、腸腰筋、中殿筋も鍛えられます。ただし、大腿四頭筋、大殿筋、ハムストリングスへの効果はノーマルより少なくなります。足幅を広くすることでノーマルより安定しやすいのが特徴です。
5.腰を落とす深さ
お尻を下げる位置によって負荷が変わるので年齢、体力、体の状態に合わせて負荷調整を行いましょう。
パラレルスクワット
床と太ももが平行になるくらい下げるのがパラレルスクワットです。これが基本のスクワットになります。大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋など下半身の筋肉をバランスよく鍛えます。
ハーフスクワット
膝を曲げる角度の浅いのがハーフスクワットです。負荷が少ない分、大腿四頭筋への効果が弱くなり、大殿筋メインになります。しかし、高齢者や筋力の少ない人は膝を痛めたり、転倒のリスクも少ないのでおススメです。
フルスクワット
完全にしゃがみ込む深さで、負荷が最も大きくなります。アスリート向きですのであまりおススメしません。
6.スクワットの行い方
スクワット
胸を張って骨盤を起こし、スタートポジションをとります。
股関から折りたたむようにお尻を後方に突き出すように下げましょう。
膝ではなく股関節周りのお尻の筋肉を使っている感覚を意識しましょう。
イスをつかんでスクワット
イスを利用して、バランスを保ち、負荷を減らすので高齢者でも安全に出来ます。
イスの後ろに立ち、背もたれを両手で掴みます。視線を正面に向け、背中を伸ばし、脚は肩幅よりやや広めに開いて立ちます。
膝を曲げ、腰を斜め後ろに引き、イスを掴んだままスクワットをします。
7.スクワットの回数
回数が多すぎても膝を痛めます。10回前後を1セットにして徐々に増やしていくのが良いでしょう。初心者の人は1回を丁寧に行い、フォームが正しくできるようなら2回、3回と増やすとよいです。毎日100回しているとか聞くけれど、アスリートや筋トレマニアでない限りは屈伸が浅すぎるか、反動を使っているだけで、筋肉の収縮が十分でない可能性が大きいです。
つまり、回数を意識しすぎるとフォームが崩れて効果がないことを繰り返してしまいがちです。
最後に
高齢者にとっては体がラクからややきついと感じる程度の負荷をかけるのが理想的スクワットになります。
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