肩甲骨2つの役割
肩甲骨は、背中の上にある大きな骨です。左右に羽のようについていて、腕の骨と連結しています。しかし、体の胴体部分とは直接つながっていなく、鎖骨を介してつながっているだけで、宙に浮いているだけのような状態です。
こんな肩甲骨の役割は2つあります。
一つは肩関節の動きをさらに拡大する働きです。
肩甲骨は腕の運動とほぼ連動し、その自由な動きをさらに大きくする役割があります。つまり、肩甲骨は胴体の筋肉の上に乗っていて、スライドするような構造になっています。
そのため、腕の動きは土台である肩甲骨が動くことによって肩関節の動きをさらに大きくする働きをします。
そしてもう一つは腕の土台の役割を果たします。
上半身の主要な筋肉に連結しているのが肩甲骨です。腕や指先などを使うときに、力を込めたり、細かな動きをするときにぐらつかないように肩甲骨にくっついている筋肉が収縮して、安定して力を出せるようにします。多くの筋肉が肩甲骨にくっついているのはそのためです。肩甲骨が平べったく、出っ張りがあるのはより多くの筋肉を肩甲骨にくっつけるための形です。
肩甲骨6方向の動き
肩甲骨の動きは複雑で、6方向に動かせます。
肩甲骨を上げ下げする「挙上」「下制」
肩甲骨を回転させる「上方回旋」「下方回旋」
左右の肩甲骨離れさせたり、引き寄せる「外転」「内転」
正常な肩甲骨は、まわりの筋肉の制限を受けることが少なく、これらの動きが可能。動きが良くなれば、筋肉がほぐれて血流が良くなります。
肩甲骨の動きを角度でチェック
真っ直ぐに立ち、肘を伸ばしたまま肩の位置まで上げます。この時、手のひらは下向きにしましょう。そのままさらに腕を上げてみましょう。
体を傾けることなく、無理なく上げられるところまで腕を上げて、角度をチェックしましょう。
肩の水平ラインから腕が上がったところまでの角度で判定します。
0~45度=カチカチ
筋肉が硬く、肩甲骨の動きが悪くなっています。
45〜60度=硬い
筋肉が少し硬くなっていて、肩甲骨の動きもやや悪くなっています。
60〜90度=問題なし
肩甲骨が柔軟に動いています。
肩と水平の高さまでは、肩関節の動きだけで腕を上げられますが、それ以上に腕を上げるためには、肩甲骨のスムーズな動きが必要になります。
肩甲骨のエクササイズ
肩甲骨の上げ下げ(挙上・下制)
両肩をすくめるように肩甲骨を上げて、5秒程度保持したらゆっくりと下ろし、腕をできるだけ下に伸ばし、5秒キープしましょう。
腕を下ろすときは一気に脱力はしません。ゆっくりと下に伸ばし続けましょう。
この動作を5回繰り返します。
肩甲骨の回旋(上方回旋・下方回旋)
手を肩に添え、両肘を肩の高さより高くなるように引き上げます。5秒キープします。
次に肩に手をつけたまま、ゆっくりと両肘を下げて脇を閉じて5秒間キープします。
この一連の動きを5回繰り返しましょう。
肩甲骨を寄せて離して(外転・内転)
床に立ち、胸の前で大きなボールを抱えるように腕を前に伸ばし、背中を丸くして肩甲骨が離れるのを意識しましょう。この時、目線は正面を向けます。5秒キープします。
次に腰の後ろに組みます。肘を伸ばして胸を前に突き出すように開き、肩甲骨を引き寄せましょう。5秒キープします。
この一連の動きを3回繰り返しましょう。
肩回し(全方向)
両肘を曲げ、指先を肩に当てます。肘で大きな円を描くように動かすことで、肩甲骨が全方向に動きます。
肘でできるだけ大きく円を描きましょう。
前に10回、後ろに10回回しましょう。
最後に
長時間同じ姿勢での作業、精密に指を使う動きは肩甲骨を固めて、周囲の筋肉の緊張状態が続きます。この緊張が過度に続くと、肩こりだけでなく、手や指の筋肉や腱も緊張して硬くなったり、必要以上の力を込めることになり、腱鞘炎の原因のひとつになります。簡単にできる解消法として今回のような肩甲骨まわりの筋肉を動かすエクササイズをおすすめします。肩甲骨まわりの筋肉を動かすことで血行が良くなり、指や手の緊張が緩和されます。
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