テニス肘は、ラケットでボールを打った時の衝撃が、手首から肘の付け根の筋肉に伝わり、その筋肉の腱に炎症や痛みが起こります。これが、テニス肘と言われる上腕骨外側上顆炎です。
しかし、テニスだけでなく、フライパンや瓶など重たいものを持った時、パソコンなどで長時間マウスを握っている時に、肘が痛いと思ったことはありませんか?
手首や指を伸ばす筋肉は肘の外側に付着しています。これらの筋肉は長橈側手根伸筋(ちょうとうそくしゅこんしんきん)、短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)、総指伸筋(そうししんきん)の3つの筋肉です。この3つの筋肉の中でも特に短橈側手根伸筋の腱への負荷が重なり、痛みが発症する場合が多く見られます。
上腕骨外側上顆炎はこれら筋群の引っ張る力による小さな損傷、つまり筋肉の繊維の束の一部が肉離れのように部分的に小さな断裂を起こしている原因で、この部分で炎症を起こした病気です。テニスによってよく起こるので「テニス肘」と呼ばれます。
しかし、テニスをしない方にも多く発生しています。肘が痛くなると「肘が悪くなった」「肘を使いすぎた」と感じる方も少なくないですが、テニス肘の原因は、実は肘ではなく、手や手首を過度に使いすぎたことから、その筋肉の端である肘の外側周辺が損傷していきます。
日頃からでもデスクワークで同じ部位を痛める姿勢があります。
それが胸椎屈曲+肩内旋+前腕回内+手背屈の姿勢です。これはつまり猫背でマウスを握っている姿勢です。
炎症がある患部は安静が必要です。しかし、安静にしてもなかなか症状が治らない患者さんも多いです。
過度に使いすぎる環境ではないか?
猫背でマウスを使うようなことをしていないか?
さらには手の使い方に変な癖がついていないか?
肩甲骨が正しく使えているか?
肘にストレスをかけない環境にするために治療を行うのが我々の務めだと思います。
ですから肘の自然治癒力を最大にするには、姿勢、腕の筋肉のバランス、そして、手関節伸筋群の安静時筋緊張を正常化する治療が大切です。
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