中高年になってくると膝の関節の表面や半月板などがすり減ってきます。これは「変形性膝関節症」といわれ、関節の軟骨における進行性の病変で注意が必要です。骨と骨が摩擦を起こすような状態なので、歩いただけで痛みが起こったり、立ったり座ったりする動作、階段の上り下りもつらくなります。また炎症を起こすため、膝に水が溜まる症状も出やすくなります。
変形性膝関節症では膝周りの筋力をつけるためにウォーキングが推奨されますが、痛みの強い場合は歩くことが苦痛でしかなかったり、逆に症状が強く出てしまうことが多いです。
そこで、40代、50代の変形性膝関節症の初期の方、膝に水の溜まっている方は今回の運動をウォーキングの代わりに試してください。
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軟骨・半月板に刺激を加える体操

4~5センチの太さの棒を用意します。今回はペットボトルを使用しています。
イスに座り、両足をしっかり床につけて踏ん張れるように座ります。
床に棒を横に置き、片脚を浮かせて膝の真下に棒があるように調整します。
片脚ずつ行います。棒の前にかかとをトンとつき、次に棒の手前に足を引いてつま先をトンとつけます。ゆっくりでもいいので棒に足が当たらないようにかかと、つま先を交互にトンとついていきましょう。
20回行います。反対の脚も同様に行います。

次に棒を縦に置きます。棒の外側に足裏の外側、棒の内側に足裏の内側を交互にトンとつけていきます。
20回行います。反対の脚も同様です。
トンと軽く衝撃を与えることが、膝の軟骨、半月板への刺激になります。
大腿四頭筋の強化

床に膝をつけて膝立ちになり、つま先を立てます。膝は腰幅に開き、両手は胸の前に伸ばします。膝が痛い方は膝の下に畳んだバスタオルなどを敷きましょう。
膝から頭まで一直線をキープしながら上体をまっすぐ後ろに傾けます。膝がピクピクするまで傾けたら戻します。
10回2セット繰り返しましょう。
大臀筋の強化

うつ伏せになり手は顔の横に置きます。足の裏を天井に近づけるように膝を曲げながら太ももを持ち上げます。素早く持ち上げ、ゆっくり下げます。反動を使わないように骨盤を浮かせないように注意しましょう。
10回2セット繰り返しましょう。
太もも裏の強化

うつ伏せで、膝を伸ばしてつま先を立てておきます。この状態で太ももを持ち上げます。左右交互に浮かせましょう。高く上げようとしすぎると体をねじったり、腰に負担がかかるので、20㎝ぐらいの高さで動かしてください。
10回2セット繰り返しましょう。
横歩き

手を胸の前に組み、背中を伸ばして大股で横歩きをします。足を横に出したら反対の足をそろえるようにくっつけます。
転倒に注意して、横に8歩移動したら反対にも8歩、移動しましょう。この運動は膝の痛みが強い時はやめておいてください。
最後に
今回の運動療法は、痛みの程度や年齢に関係なく、ひざの痛みを改善するのに有効です。
運動療法に期待できる効果として、次のようなものが挙げられます。
・痛みによって緊張した筋肉をほぐす
・痛みや緊張で拘縮した関節の可動域を拡大する
・血行を促進させる
・痛みをきっかけに低下した筋力を向上させる
・運動機能を回復させる
頑張って筋肉、関節の機能を高め、歩ける膝を作りましょう。
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