変形性股関節症とは
変形性股関節症は、股関節の軟骨が少しずつすり減ることで股関節の痛みや歩行障害を引き起こします。そして軟骨のすり減りが進むと骨が変形していきます。また関節を取り囲む滑膜と呼ばれる組織に炎症を起こします。
股関節の特徴
股関節は、人の体で最大の関節であり、その形の特徴から大きな負担がかかるようになっています。片足で立っているだけでも体重の3~4倍もの重さが股関節にはかかり、早足で歩く時には約10倍もの力がかかると言われています。階段の上がり降り、イスの立ち上がり動作や床へにしゃがみこんでから立ち上がるような動作では股関節にさらに大きな負担がかかります。
下の図のように大腿骨は一直線の棒のような形ではなく、骨頭が斜めに骨盤に入るような形状をしています。この形のおかげで股関節の可動域は大きく動かせるようになっていますが、飛び出た骨頭は大きな力がかかるとすりつぶされる弱い構造になります。
股関節は、骨盤の丸いくぼみの中に、大腿骨頭というゴルフボールより少し大きい球状の骨がはまりこんだ構造をしています。くぼみの中を大腿骨頭が色んな方向に動くことで、歩いたり、しゃがんだりすることが出来ます。
年齢や繰り返しの負担から徐々に大腿骨頭の表面の軟骨がすり減ってくると、関節の中がデコボコしたり、引っ掛かりや痛みを生じるようになります。そして、軟骨のすり減りが進んでくると関節の骨がゴツゴツと変形し、さらに強い痛みを伴い、変形性股関節症となります。
日本人の変形性股関節症の原因は多くが先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全といった生まれつきの異常があります。うまれつき骨盤のくぼみが浅かく、大腿骨頭がくぼみにしっかり入りきっていないために、関節の端から強い負担がかかり、軟骨がすり減ってしまいます。
変形性股関節症の症状
主な症状は脚の付け根の痛みと可動域の低下です。
初期の関節のすき間が狭くなっただけでは動き始めに脚の付け根に痛みを感じるようになります。それが、進行していくと痛みが強くり、痛む時間も長くなります。
同時に、股関節の動かせる範囲も狭くなり、立って靴下をはいたり、和式トイレなどでしゃがめない、足の爪を切れない、さらに長時間立っていたり、階段の上り下りが難しくなります。
股関節が悪くなるとそれに連動して腰や仙腸関節に痛みを起こすことも多いです。
症状を進行させないために
症状が進行していくと歩くことが辛くなり、進行が進み骨の変形が大きくなると、関節の中や周囲に骨棘とよばれるトゲのような骨が形成されたり、骨の空洞ができたりします。
最終的には関節軟骨は消失し、歩くことや動かすことが困難になります。これらの症状が取れない場合は人工関節などの手術するしかなくなります。
変形性股関節症は、歩く、しゃがむ、立つといった生活動作でかかる負担によって徐々に進行し、悪化します。
症状を進行させないためには普段の動きで股関節にかかる負担を極力少なくすることが大切です。
- 正座、しゃがむことを避ける
- 洋式トイレやベッドの使用など生活スタイルを見直す
- ゆっくりと歩くように心がける。長時間歩きすぎないようにする。
- 痛みのある時は無理して歩かない
変形性股関節症のランナーへ
変形性股関節症は進行性であり、走り続けていると関節のすり減りから痛みが強くなりやすいです。
痛いのを我慢して走ることはしないでください。足を引きずったり、痛みを無意識にかばって腰や膝を痛めることも多いです。
走る時間を短くし、衝撃が股関節に伝わらないようなシューズ選びも大切です。
筋肉が極端に引っ張られないように太ももまわりの筋肉を適切にケアすることで進行を遅らせ、ランニングを続けることも可能です。程度にもよりますが、変形性股関節症の方でも運動出来るようになります。
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