足三里のツボには「脚を元気にする」作用があるともいわれ、俳人 松尾芭蕉が長旅で脚が疲れないようにお灸をしていたことで有名です。
膝を軽く曲げると膝のお皿のすぐ下、内側と外側に2つのくぼみがあります。この外側のくぼみから約5cm下で、向こうずねの外側にあるツボです。
この足三里のツボは脚の疲れやこのツボは浮き指、つまずきやすいといった悩みにもおすすめです。
また、胃腸を整えるツボとしては最も有名なツボで、多くの実験で胃腸への良い効果が立証されています。
なぜ足三里は脚の疲れに良いのでしょうか?
脚の疲れは足先を上に上げる働きをする前脛骨筋の疲労または炎症です。前脛骨筋はすねの前・外側の筋肉です。
しかし、歩いたり走ったりジャンプしたりするときに使うのは、後面のふくらはぎの筋肉です。これは、からだ中でも大きな筋肉である下腿三頭筋という筋肉です。
これに対して、前脛骨筋は足先が下がってつまずかないように足を上げるためだけの筋肉です。下腿三頭筋は地面を強く押す筋肉で足を下げるための筋肉で、前脛骨筋に比べてはるかに大きな筋肉です。
この2つの筋肉が拮抗して働いているのですが、どうしても小さいほうの前脛骨筋は長時間歩行したりすると、疲れて痛みを生じやすいのです。
疲れたり、痛みが生じているツボに温熱刺激を与えることで、皮膚の下にある筋肉や血管、リンパ節が刺激されます。すると、細胞が活性化され、免疫作用がアップするほか、リンパの流れが改善されます。
そして、人間の体には「経絡」というエネルギーの通路が、全身をめぐっています。東洋医学でいうエネルギーとは、人間の生命活動に必要な「気・血・水」のことで、「気・血・水」が不足したり、その流れが滞ると体が不調をきたすと考えられています。
この経絡の上にあって、「気・血・水」が弱ったときに反応がでる箇所が「経穴」、いわゆる「ツボ」です。ツボにはそれぞれに作用があり、足三里のツボは脚のつかれ、むくみ、胃腸の症状、膝の痛みにも万能養生のツボと言われています。それを刺激することによって、脚、そして胃腸のさまざまな症状の改善が期待できます。
足三里のツボは前脛骨筋の中にあります。
脚が疲れたり、長時間使い続けると前脛骨筋が硬くなり、この足三里の部分が痛くなるのは一種の防衛反応です。少し休んでほしいという筋肉の非常信号でもあります。
疲れがたまり、しんどくなってきたら足関節をゆっくり上や下へ動かして、この前脛骨筋をストレッチするようにほぐしましょう。軽くマッサージや指圧をするのも効果的です。
また、古来からお灸の効果が出やすいツボでもあるので、市販のお灸を使うのも効果的です。
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