アキレス腱炎やアキレス腱周囲炎
速いスピードで沢山走ればアキレス腱が強い力で引っ張られます。そうなるとアキレス腱の周囲や腱自体を痛めてしまいます。これはアキレス腱炎やアキレス腱周囲炎という状態になります。
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症状とケア
柔らかいアキレス腱と硬いかかとの骨との間に摩擦が起これば、アキレス腱に傷がついて腱と骨との付着部に炎症が生じます。アキレス腱と骨との間にある滑液包が腫れて水が溜まり、その状態が酷くなると腱に傷がつきます。 摩擦によって炎症が起こるわけですから、その摩擦を減らすために走る量を少なくする必要があります。また、走り方や足の形に問題があるケースもあります。つま先から着地をするランニングをしていると、かかとを使わない分アキレス腱に強い力がかかり怪我にも繋がります。 特に、トップランナーのアキレス腱のトラブルは多いですし、短距離走の選手やサッカーをされている方にも多いですよね。痛みが発症したら、急性期では 激しいランニングや痛みを強くする行動をなるべく避け安静にすることが必要です。運動量が多すぎる場合は練習内容の変更、特に短距離走やダッシュ、坂道練習はNGです。
ふくらはぎの硬さがアキレス腱への緊張を増大させるため、リハビリではアキレス腱からふくらはぎのストレッチを行います。
前回と前々回の動画でアキレス腱炎を予防するストレッチをアップしていますので、ストレッチの方法はそちらを参考にしてください。
アキレス腱炎になったら
確かに軽症であれば3週間から1か月くらいで治ります。しかし、約半数近くの方は、痛くなってから半年しても痛いままであり、このような人は慢性のアキレス腱炎に分類されます。
慢性のアキレス腱炎の原因の一つは「くり返される負担」です。ランニングやトレーニングで繰り返しの負担がかかり、アキレス腱炎は生じます。もう一つの原因は「年齢」です。40歳を過ぎると、運動をしていなくてもアキレス腱炎になることがあります。
アキレス腱炎の正体はアキレス腱の中で「血管が余計に増えてしまう」ことだと考えられています。人間の体は繰り返しの負担で血管が増えるようにできています。特に休まずにハードな練習を続けると増えていきます。また40歳を過ぎると、負担が無くても余計な血管ができてしまします。血管と一緒に神経線維も増えるため痛みを感じる部分も多いわけです。
慢性のアキレス腱炎かどうかは、アキレス腱の部分を軽くさわると、アキレス腱の一部がしこりのように腫れていたり、その部分だけ強く痛みを感じることでわかります。また、しばらくいすなどに座っていて、歩きはじめるときにアキレス腱に痛みが走ることもあります。
中高年の場合、アキレス腱炎は単なる運動による炎症というよりも、腱の老化によって小さなキズが入って、しこりのような状態が多いのです。それを知らずに運動を続けていると、キズが大きくなり、ある時ついに断裂を起こす…ということになりかねません。
アキレス腱炎が疑われる場合は、けっして無理をせず、まず運動をしばらく休むことが大切です。そのうえでアキレス腱をアイシングしたり、シップ薬で冷やすなどのケアをします。
アキレス腱炎になってからの運動
急性期を過ぎたら、アキレス腱そのものに断裂はないので、走ること自体には支障はないでしょう。 次のような動きを繰り返すことで、アキレス腱に負担が蓄積します。
○ジャンプの踏み込みと着地
○急ダッシュと急ブレーキ
○走行の方向転換
○ジグザグ、急カーブでの走行
これらの練習は避けてください。また、ひねりに弱くなっているので、土やトラックなどのクッションのある道より、アスファルトの道のほうが負担は少なくて済みます。
ストレッチだけでなく、中高年の方はアキレス腱の老化による変性を遅らせるために、日ごろから少しずつでも動かしておくことも大切です。運動不足によってふくらはぎの筋肉が柔軟性を失っていることも多々あります。
ただ、急性期のうちは軽いストレッチでもかなり負荷がかかるので、やりすぎないようにしましょう。
ランニングや運動のシューズにも注意が必要です。かかとが遊んでいるシューズは、アキレス腱に余分な負荷がかかるので避けること。かかとをピタッと軽く包んでくれるようなシューズを選びましょう。
また、シューズのかかと部分の減り具合をチェックしてみましょう。片減りといって、外側だけ、あるいは内側だけが大きく減っている場合には、アキレス腱に不自然な力がかかりやすい傾向がみられます。O脚の人も、足の外側に力がかかりやすいのでそちらのケアも大切です。
いつまでも走れるために、日ごろから脚の状態をよく知ったうえで、ストレッチやエクササイズでケアしていきましょう。
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