12月の奈良マラソンでのスタート待ちの時、ランナーたちの会話が耳に入ってきました。
初マラソンらしく緊張した若いランナーが連れに話しています。
「やっぱり、完走する自信ないわ〜 脚も不安やし〜」
慣れた先輩ランナーっぽい人が語っています。
「そんなの腕をしっかり、力いっぱい振っていれば自然と足が前に出てくれるから、いつの間にか完走してるわwww」
「わかった!腕を意識して走るわ!」
彼が無事にゴールできたかどうかは知りませんが、そんな走り方でゴールは無理でしょう?
それは肩の構造と動きを考えると分かることです❗
実は不安定な肩の構造
肩の骨の連結は複雑です。
よく誤解されているのが脊柱→肩甲骨→上腕骨と連結されていると思われていますが、脊柱と肩甲骨の間に肋骨、胸骨、鎖骨があり、これらの骨が1本のルートとなって繋がっています。
骨だけの連結だたとても不安定で、筋肉で固定していないと崩れてしまいそうな構造です。
例えば手にスマホを持つとしましょう。
スマホを落とさないように持つためには手で握らないといけません。
手に力を入れた時、写真のように黄色い円で囲んだ骨をしっかりと筋肉で固めないと手に力を入れられないし、握力を調整して持つことができません。
つまり手を握ることは肩甲骨周囲の骨を固める必要があります。
腕をしっかりと振るということ
腕をしっかりと振ることを意識して走るとこのような姿になります。
腕を意識することで手を固く握ってしまいます。
そうすると肩甲骨〜背骨の筋肉が骨を安定させるために力が入ります。
腕を振ります。
肩甲骨周囲が固まって動かないので腕は円を描くように身体を中心に回転します。
肩甲骨〜肩が固まっているので上半身をねじります。
バランスをとって前に進むために下半身は上半身とは逆の方向にねじります。
脚が反対側の肘の方を向いていますね。
体幹トレーニングをしているかのような走り方ですね???
すぐにバテてしまいそう・・・
後ろから見ると腕を後ろに回すような振り方になり、肩甲骨が動かずに背中全体を回しています。
このような腕の振り方をすると腕を引くときに肩が上に上がり、身体の軸が反対方向へ倒れます。
走っていると左右に大きくブレることになります。
このような腕の振り方は数キロ程度のランニングや一時的なスパートでは大丈夫かもしれませんが、フルマラソンでは体幹の筋肉を激しく疲労させてしまい、完走することはできません。
腕を意識するとフォームが崩れる
腕の振りを意識すると肩甲骨の周囲の筋肉に余計な力が入る。
手を握るだけでも同様です。
固くなった肩甲骨は肋骨の上で滑るように動かなくなり、肩関節の可動範囲が少なくなります。
そうなると腕の振りは前後ではなく体に巻きつけるような、円を描くような振りになります。
動かない肩を補うように体を捻りながら肩を動かすようになり、肩の位置もアンバランスになります。
さらに腕の振りを脚の動きに伝えようとすると大きくねじる必要があり、フォームの崩れの原因になります。
上半身のねじれと反対方向に脚もねじれ、腕の向きと脚の向きが交差するようになり、身体を安定させる体幹に負担が大きくなると同時にケガのリスクが高くなりますよ☠
正しい腕の振り方
腕の振り方に正解はありません。
筋力があれば大きく振ることもタイムの短縮につながります。
自然にまかせる振り方のランナーも多いですし、テンポよく振るのが走りやすいとうランナーもいます。
ただ、筋力のない初心者のランナーにはブレずにエネルギーの消費が少ない効率的な腕の振り方が良いと思います。
効率的な腕の振り方
手は力を入れずに軽くグーの形にします。
肘はぐらついたり、ぶらぶらさせないように曲げておきます。
左右の肩の力は抜いておきます。
腕の動きは身体の面に対して垂直になるようにしましょう。
つまり、円を描かず、前後に動かします。
身体がねじれなければ脚もまっすぐ前に出ます。
背中から見ると肩甲骨が内側に寄せるように動いているのがわかります。
身体の軸も傾いていないですんね。
肘が真後ろに引かれているので肩も上がりません。
無駄な動きのないフォームになります。
これなら無事に完走できそうですね☺
初心者に腕の振りをアドバイスするなら
「手と肩の力を抜いて、肘を後ろに真っ直ぐに引くように❗腕の振る力で脚を動かそうとしないこと❗」
マラソン前のメンテナンス、走った後の疲労回復、ランニングでの痛みなどお気軽にご相談ください。
橋本接骨院はランナーの皆様を応援致します。
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